大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ネ)279号 判決

控訴人等は、賃貸建物を譲渡した場合は賃貸人より賃借人に右譲渡の事実を通知し、賃借人をして何人が賃貸権者なるかを確知せしめ、安んじて義務の履行を完了せしむべき不動産取引上の慣習あるところ、木戸正久より控訴人筒井住蓮に対し本件建物売却の事実につき何等の通知もないので、被控訴人は同控訴人に対し本件建物の賃貸権を主張対抗してその権利を行使することはできない旨主張するが、右慣習の存在を肯認し得べき証拠はないのみならず、民法及び借家法の規定を通覧しても、賃貸建物を売却した場合賃貸人より賃借人に右売却の事実を通知しないかぎり買受人は賃借人に対し該建物の賃貸借の承継を主張することができないと解すべき根拠を見出すことができないから、採用するに由ない。またしたがつて控訴人のいう被控訴人の行為が信義誠実の原則に違反するという主張も採用することができない。

(柳川 村松 中村匡)

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